SAKETIMESライターで酒匠の濱多雄太です。富山県魚津市で『日本酒と料理のマリアージュがもたらす幸せな時間』をテーマに料理やを経営し、日々研鑽しています。富山の地酒、食材を使用し、楽しいマリアージュをお伝えさせていただきます。
今回ご紹介します日本酒は富山県の酒蔵、若鶴酒造よりワインを思わす日本酒、純米大吟醸『sui』『kou』です。
実際に杜氏の籠瀬信幸氏にインタビューしてみました。
ワインを思わす日本酒を醸した理由は??
「ある意味自分の冒険心と日本酒のイメージを変えてみたかったんです。普通渋みや苦みは、日本酒にとって致命的であるところをワインのようにあえてださせてみました。日本酒の苦手な方への新たな切り口としてご提供したいと思いました。」とのこと!
籠瀬杜氏が伝えたい各アイテムの特徴とは??
◎ suiについて
白ワインを思わすイメージで、さっぱりとした味わいです。日本酒らしさの部分を少し残したお酒に仕上げています。
・香りはリンゴ系を少々
・渋み、苦みあり
・飲みやすい口あたり
・少々甘口
といった特徴があります。
◎ kouについて
赤ワインを思わすイメージで、甘みのあるしっかりとした味わいです。酵母由来のリンゴ系やバナナ系の香りではなく、あえて麹由来の甘い香りに仕上げています。
・渋み、苦みあり
・甘口濃厚
といった特徴があります。
日本酒をご愛飲されている方、赤ワインを思わす日本酒は中々味わったことがないのでは?そして、この2つの日本酒は通常の仕込み総米約600kgですが、2300kgで醸しております。
suiに関しては、渋みと苦みをつけるための麹菌の使用量の苦労。
kouに関しては、弱い酵母を使用して、酵母由来香を消し、あえて麹の香りをだして、日本酒のトータル的なバランスはとれるのか。
と不安は沢山だったみたいです。
私はこの正反対の個性をもつ日本酒で試してほしいマリアージュがあります。
ワインとは、相性があまりよくないお造りを用いた『味の冒険マリアージュ』の提案です。
ワインみたいな日本酒ゆえに楽しめる、食べ比べ、飲み比べを楽しみましょう。
キーアイテムは『日本酒ワリ醤油』です。
刺身、日本酒割り醤油のレシピ
【材料】
・白身魚 (お造りにしてあるもの) 今回はヒラメ
・赤身魚 (お造りにしてあるもの) 今回はカツオ
・つま用の大根 適量
・タマネギ(半分) スライス
・茗荷(1ヶ) スライス
・芽もの
【日本酒ワリ醤油】
◎suiの日本酒ワリ醤油
・こいくち醤油 10cc *今回はヤマナ醤油
・sui 10cc
◎kouの日本酒ワリ醤油
・こいくち醤油 10cc *今回はヤマナ醤油
・kou 10cc
【レシピ】
1. それぞれ野菜をカットしましょう。
※タマネギ、茗荷は水を何度かかえながら、水がにごらなくなるまでさらしましょう。(アクが回って変色を防ぐため)
2. カットした野菜、お造りを皿に盛りつけましょう。(夏らしくガラスの皿に盛ると四季を感じられます)
3. 日本酒ワリ醤油を合わせましょう。
結論:"ワインみたいな日本酒"の価値は……
味の濃い赤身、淡白な白身、味わいが異なる日本酒で醤油を割ることで食べ比べの楽しみが広がります。
このマリアージュで伝えたいことは、2つあります。
1つ目は正反対のモノで味の比較をすることで、食べ合わせた時に新しい味が広がること。
2つ目はワインでは相性が悪いモノが、ワインを思わす日本酒だと相性が良いこと。
ワインとお造りの相性はあまりよくはないと思います。(カルパッチョなど、オリーブオイルや、ニンニクなど香りをドレッシングに用いた場合は別)
ワインの中の『二価鉄イオン』が魚介の『脂質』の酸化を促進し、臭い成分を瞬時に発生させると言われています。
現在、日本酒が海外でも評価されています。日本にも海外から沢山の食文化が浸透してきています。
日本酒にあって、ワインにないもの。
・麹由来香り
・原料(米)
この2つが大きな違いではないでしょうか。
これはユネスコ無形文化遺産に登録された和食の最大の特徴である『UMAMI』です。
これまで日本以外の国では、ワインが食の中心になるアルコールだったと思います。ですが、このような”ワインのような日本酒”が世界に発信され普及していくと、ワイン文化の国々でも”お造り"がおいしいものとして大人気になる、なんてことがあるかもしれませんね。
お酒ごとの個性を理解することで、さらに深く楽しい食の楽しみがあります!
それが、マリアージュ。まだまだ深い!
楽しい日本酒に興味を持っていただいた方、飲んでみたいと思った方は、立山酒店までお問い合わせ下さい。
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